ネリヤ☆カナヤの最終目標は、新しい奄美のスタンダード作り。つまり現代の島唄を作り上げること。この目標はいつでも底辺にあったのですが、大それたことでもあります。そう簡単にできるものでもありません。それでも、オリジナルを作るモチベーションアップにはつながります。これを打ち出すことでこのアルバムでそれが叶わなかったとしても、ひとつの布石になるかもしれない。これを思い切ってコンセプトとするべきでは?そう考えました。
しかしサウンドだけで奄美を醸し出すことは難しいのです。アルバムの歌詞の方向性も考えました。2007年の6月に奄美FMディ!で放送が開始された「ネリヤ☆カナヤのむじらいトーク」がひとつの方向性を導き出しました。この番組は東京から奄美に発信している番組です。つまり「奄美出身者が東京などの外からみた奄美」。このふたつの考えが今回のコンセプトとなりました。ですから今回は島唄アレンジも力が入っていますが、オリジナル曲の歌詞も奄美を更に強く意識しました。
コンセプトは最初から考えていたわけではなく少しづつネリヤ☆カナヤの中に根付いていったものですが、正直なところ前作の「ほこらしゃ」の評判があまりに良かったために、これがプレッシャーにもなりました。特に難航したのが「朝花」の島唄アレンジ。このアレンジは「ほこらしゃ」が完成した直後からすでに始まっていました。アイディアはあるものの納得したカタチになかなかなりません。
そうこうしていると奄美在住の「ピンポンズ」がアレンジした「朝花」にはショックを受けました。素晴らしいアレンジでした。これに二人は俄然プレッシャーがかかり、試行錯誤を繰り返しました。最終的にそれをクリアできたのはギターのコード展開が決定した時でした。別な曲を作っている時に同じコードをたまたまあてはめてみたらピタリとはまったのです。それから二人の考えていた最初のアイディアや構成を組み込んでいくと一気に完成に漕ぎ着けました。そして「ASBANA」がこのアルバムの核となる!と考えるほど出来に満足しました。
その間、オリジナル曲も少しづつ少しづつ増え、ライブで演奏すると「CDにして!」と反響も多くなってきたところで、本格レコーディングを2007年7月に開始。2007年内には発売したいと思っていたのですが、予定していた8曲すべてのベーシックレコーディングが終わって改めて聴きなおしたところ、何かが足りない!二人が感じたことは同じでした。結論は「核となる曲が後半にもう1曲必要!」。そこからその核となる「ハルカナ」が完成するまでに半年。遂に6年もかかってしまいました。
というわけで、そういう意味でも渾身のアルバム作りをしたつもりであり、手抜きは一切なしの「ほこらしゃ」から更に進化を遂げたネリヤ☆カナヤの新しい挑戦的なアルバムです!是非ともじっくりと聴いていただき、その耳でどうかお確かめくださると幸いです!
というわけで、「ハルカナ」とは奄美の方言で「天上の女神」の意。みなさまが「HALKANA-ハルカナ-」に見守られますことを!